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michikoの部屋
もう6月……久しぶりの共同生活(1)
なんだかバタバタしているうちに、もう6月に入りました。しかも、もう10日過ぎ!
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2022年6月、梅雨いり間近 |
michikoが暮らしている地域はまだ梅雨入り前で、もうそろそろかな、という感じはしますが、でも昨日は午後から快晴、気持ちのいいお天気になり、今日の夕方には雨が降るようですが、明日もまた晴れマークです。5月は雨が多くて、「風薫る、爽やかな5月」という定番のお天気には恵まれなかったので、梅雨入り前にちょっとその挽回をしておこうと思っているのかもしれません。
それにしても、先回〈michikoの部屋〉の記事を更新したのは3月31日でしたから、もう丸2ヶ月と10日、ずいぶん長い時間が過ぎてしまいました。最後のほうの3月の記事を読んで下さった方は、Yoshiが山荘で起きたハプニングのために、michikoのところに緊急避難してきたことをご存知だと思います。そのハプニングというのは、トイレが使えなくなったことでした。この冬は大変に寒く、Yoshiの山荘は標高1000メートルの高原にあるので、その寒さもとくに厳しくて、凍結により水洗トイレが使えなくなったのです。後で聞いたところでは、他にもそういうお家がいくつもあって、こんなことは今までなかったとのことでした。
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2月の浅間山 |
Yoshiと仲良くしているキビオやホシ、リリーたちは、元々地元の森の生き物ですから、トイレなど必要とせずに自然のなかで暮らしていますが、人間の場合は、いくら彼らと仲がいいと言っても、彼らと同じ暮らし方はできません。まあ緊急時には、山登りをする人のように自然のなかでということもあるでしょうが、最低気温がマイナス10度を超える真冬の厳寒地のまさしく厳寒期ですから、たとえ1日でも外で済ますというのは絶対に無理……というわけで、真夜中に電話が鳴ってこの緊急事態が知らされたその翌日、お昼過ぎにはもう、michikoの玄関のチャイムが鳴っていました。
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キャンプのときのトイレ(『はじめての山登り』から) |
というわけで、2月の始めから、大変久しぶり(ちょっと考えてみたら、実に実に、27年ぶりでした!)に、michikoとの共同生活を再開することになりました。つまり、〈michikoの部屋〉はYoshiとシェアすることになったわけです。その久しぶりの体験でいろいろ気がついたこと、考えたことを、これから2、3回に分けてざっくばらんにお話ししていきたいと思います。
michikoの住まいは一人で暮らすには十分の広さなのですが、二人ではちょっと狭いので、この予期せぬ出来事のせいで突然共同生活を始めた際には、いろいろな工夫が必要でした。まず、お仕事をする場所のテリトリー決定から始まって、お互いに今まで自分流に作ってきた生活ルールや流儀を急遽調整することが、最初はけっこう大変でした。なんだかまるで結婚したばかりの頃のような感じでしたが……あはは……そのテリトリーの範囲内ではお互いに自分の仕様を維持する、というわけで、今まではすべてmichiko仕様だったスペースの2/3弱がYoshi仕様にモード替えしたのです。まあ二人の容積比が2:1ですから、空間のシェア(占有率)としては妥当なところだったと思います。もちろん、共用スペースを除いて、ということでした。
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間に物を置いてテリトリーを主張する、 ということはなかったです(あはは) |
michikoが山荘で休暇を過ごす際には、それはもうYoshiの山荘ですから、大方Yoshiモードに合わせて特に問題はないのですが、今回はそうもいきません。リビングの両端に陣取ってテリトリー分けしたスペースについてはお互いに口を入れない、見ても見ないふり、が大前提となりました。突然のことで前準備が一切できなかったために、michikoが明け渡したYoshiの大きな机の上は到着した当日からまたたくまに整理整頓されてすっきり(これはYoshiの得意ワザです)。にもかかわらず、机の横のゴミ箱の周りにはいつも投げ損ねたゴミが散らばっているという不思議……(見ないで投げてる?)。逆に、michikoのパソコンデスクの周辺にはたちまち書類や本やワケの分からない紙切れやメモ、筆記用具などが散乱し始める……これがmichiko仕様。
食事はと言えば、Yoshiが夜昼逆転して寝ていない限りは夕食だけ一緒、支度はmichiko、後片づけはYoshi。あとは、二度食べようが一度にしようが各自セルフサービスでご自由に、というのは山荘にいるときと同じ。その他については必要に応じてルールを決めていきました。
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こんなふうに命中しないで 周りに散らばる…… |
とはいえやはり、Yoshiが洗ってくれるお皿やお茶碗はしばしば少し残りカスが付いていたり、脂がちゃんととれていなかったりして、また後から洗い直すこともよくありました。これって、食後の皿洗いを手伝ってくれる夫に対して、多くの妻が抱えるストレスのようですが……
山荘でも、Yoshiは食事が終わるとすぐに後片づけをして、「森のおおびとの登場!」と一言宣言するとものすごい勢いで食器を洗うのですが(「プロフィール」をご覧下さい)、要は、後になると片付ける気がしなくなってしまうので、一刻も早く片付けたいというのが本音です。とはいえmichikoにしても、正直なところ家事が好きではない、でも汚いのも嫌なので仕方なくやっているので、その気持ちはよく分かります。ときどき、家事が大好き、片付けるのが大好き、とか、「カリスマ主婦」とかいう人(言われる人?)がいるようですが、誰かが代わりにやってくれるなら喜んでお任せしたいというのがmichikoの本音、そうは言っても、どうせ洗うならきれいに洗ってほしい、というのも本音ですね。
michikoのほうはまあサービス精神は昔からけっこうあって、人がいるとちょっと張り切って何かおいしいものを作ってあげたくなる……そんなわけで料理が好きなのかなと思われることもあるのですが、でもひとりだと何もしたくない、あーあ、食べたい物がひとりでに出てきてくれたらな、といつも思うのです……
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michikoのところとよく似た、 でもずっときれいなシステムキッチン |
前にもお話ししたように、二人は背丈が大分違うので、この住まいには、michikoには適度の高さのものが、Yoshiには低すぎて危険、ということもあります。例えば、システムキッチンの上戸棚の位置はYoshiには低すぎて頭をぶつけそうになる。そこでYoshiは早速、「あ、閃いた!」とか言って、ガムテープを要求。何をするのかと思って見ていると、テープを細い紐のように縒って、その片方だけ粘着部分を残し、そこを上戸棚の底に貼り付けていくのです。「ね、こうしておくとぶつけないで済むでしょ」と得意そうに言うのですが、上戸棚から3、4箇所、不規則にぶら下がるそのガムテープの姿は、お世辞にも美しいとは言えず、でもどことなくユーモラスで、そう、まさしく〈シュール〉でもありました。つまり……Yoshiが「いま・ここ」に住んで居るという物理的実在の証しが、こういう一見不可解なガムテープの紐状目印として現出する、そのことの存在論的意味に、michikoはしばし思いを致したのです(うーーーん、哲学してる……これもYoshi効果?)。
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テキサスの理容店の天井から下がるハエ取り紙(1905) |
それからふと、思い当たることがありました。もしかしたら、これって、用途はまったく違いますが、あの天井から下がる昔のハエ取り紙の発想なのかしらん……??? こういうmichikoの想像もまた、やはり昭和を感じさせるのが我ながらおかしいですね。日本でハエ取り紙がよく売れたのは1960年代までだったそうですから、大学生の頃にはもうあまり見かけなくなっていたはずです。
つまり見方を変えると、Yoshiにとっては問題のない高さがmichikoにとって高すぎるということでもあります。これはまあいつものことで、上戸棚を何とか使えるのは下段だけで、中上段に入れてある物には手が届かず、いちいち椅子に乗って用を足しています。だから、そういうときに手伝ってもらえるのは大助かり、ものにはいつもメリットとデメリットがありますね。背が低いというのは使える空間が少ないということでもあるし、見えるものが限られているということでもあります。たとえば博物館などで高い位置にある展示物が見えないし、図書館で上段の本を見たいときは踏み台を探してゴロゴロ引きずってこないといけないし、スーパーで上段の商品を取りたいときはいつも店員さんを呼ばなくてはいけない……こういうことに、高校生のころからずっとストレスを感じ続けてきたmichikoではありました。
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図書館でmichikoがよく使う踏み台 |
まあでも、神様はそれほど不公平な方ではないようで、背の違いで視界が異なることは確かでも、注意力という点では、背の低い人のほうが低いところにあるものにはよく気がつくことも多いようです。
さて、今回は急遽共同生活をすることになったいきさつと、生活の物理面でのお話がメインでしたが、次回はもっと楽しい話題、二人で過ごす時間、お茶と散歩についてお話ししたいと思います。
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