〈ロラとロルの神様さがし〉
純粋な物語は、わたしたちのこころの中に生きる、童心の物語であるというお話をしてきました。この童心が、生き物たちとおしゃべりをしながら、山や川をへめぐります。そしてまた精霊たちとおともだちになり、神様たちの気配をふっとあたりに感じたりもします。
山や川、生き物たちと自分を切り離して生きる人々ももちろんいます。その人たちは、それはもう終わった世界だ、生き物はだまっているし、精霊はいないし、神様たちもどこかにいってしまった、そういうのはアニミズムという迷信だと考え、機械をいじったり、面白そうな情報をあつめたりします。
しかしはたしてそうでしょうか。げんに、わたしたちのこのこころは、まだそちらのほうにむかっていた、そういう近い、そして太古の思い出をたしかにもっています。ですから問題は、山や川や生き物、精霊たちや神々がどこかにいってしまったというよりは、そういう世界をこころの奥底に見つけようとしなくなった、なんとなく機械をいじったり、情報をあつめたりする、それが人生だと思いこんでいる、そのせいなのかもしれません。
ですからもう一度、童心にもどって、神様がどこにいるのか、どうしてすぐには見つからないのかを考えてみる、いちどすべての偏見をすてて、仲間の生き物たち、おともだちの精霊たちと、山や川、森や海の神様たちをさがしに出てみる必要があると思うのです。そういう神様さがしの旅を、これからみなさんとしばらくやってみることにしました。その中で、新しく、古い世界のいぶきのようなものを感じとっていただければと思います。
〈絵本の森〉物語もそのまま掲載を続けていますので、時々アルバ君たちにあいさつしてあげて下さい。とても喜ぶと思います。
2021年10月15日、コロナ禍がようやく収束に向かいつつあることを祝いつつ、また不幸にして亡くなった方々に黙祷をささげつつ、群馬山中にて記す。
|
|