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遺構解説 遺構N10-9(ジャガーの神殿)

 様々な時期の神殿が折り重なっている。調査によると、おそらく6世紀、すなわち古典期前期の後半には最初の神殿が建てられたと考えられている(図12)。高さは19メートルほどであった。この時期に属する奉納品を納めた施設が発見され、いくつかの翡翠の装飾品と、571点もの黒曜石の石核が取り上げられているが、土器が出土しておらず、時期決定が難しい。やがて古典期後期にはいると、正面部分に改修の手が加えられる。以前は、幅の広い階段を構え、最初の基壇に達したところにくぐり抜ける門のような構造物があっただけで、あとは頂上部までまっすぐにのびる階段を上がるだけの単純な構造であった。第1基壇の正面、階段の両脇部分には、漆喰でできたジャガー神の顔も見られた。これが古典期後期になると、マスクは新しい壁で覆われ、装飾が目立たなくなる一方で、幅の狭められた階段の中央部分には、突出したブロック状構造がいくつか作られた。こうした構造上の変化は、アルトゥン・ハの場合によく似ている。後古典期に入っても、基本的な構造はそのまま再利用されたが、維持されたのは正面部分に限られ、側面等は、改修以前にすでに荒廃していたらしい。こうして遺構N10-9は14ないし15世紀まで使用された。


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