井戸尻レポート(1)

平出教枝


井戸尻考古館発掘情報

1996年8月16日の時点で発掘していたのは、信濃境から富士見町に向かう線路沿いの道の際にある中尾遺跡でした。縄文と平安の跡が重っており、かなり広範囲に及ぶエリアです。当日は、平安時代の炉の発掘と集石遺構の測量をしていました。
縄文の方は、斜面と平面が出会った縁に沿って長く住居が残され、その住居の前に平行して集石の跡が延々と続いているそうです。
規模からすると茅野の阿久遺跡より大きいらしいとのこと。ここの発掘は8月いっぱいで一旦打ち切り、来年4月から縄文住居と集石の遺跡発掘に取りかかるそうです。

9月は、井戸尻遺跡復元住居のある公園の上に町が道路を建設する予定の場所の発掘を行うそうです。
10月は、井戸尻考古館の上に位置する大花遺跡の発掘を予定しているとのことです。






井戸尻考古館トピックス(その1)

井戸尻遺跡復元住居のある公園の前には、蓮池公園が広がっています。考古館の職員が丹精を込めて育てたもので、古代大賀蓮を中心に、みごとな花の競演を堪能できます。しかし花が咲きほこるのは朝8時ころまでで、昼間咲いているのは明日散る花だけだそうです。時期としてはもう終わりにさしかかっているとのことです。





この公園を訪れてビックリしたのは、このあたりでも開発によって急速に失いつつある生の自然がいきづいていたことです。セリや水草がビッシリ生い茂った小川が四方に流れ、もう見られないと思っていたオニヤンマが水草の陰に卵を生んでいるのを目にして、思わずしゃがみこんで観察をしてしまいました。丘をはさんだ反対側では、田んぼを削って舗装道路を広げ、洪水災害をもたらすとは思えない、かつてセリを摘んだささやかな小川の護岸工事を行っていることが信じられない程です。



井戸尻考古館トピックス(その2)

井戸尻考古館を訪問中に、このあたりならではの珍事件を耳にしました。ただならぬ悪臭に驚いた地元の人が外に飛び出して見ると、なんと都会からやってきた別荘人が、ポンプを使って自宅の糞尿を近くの小川に流し捨ててていたというのです。おそらくお盆にぶつかってくみ取りの依頼も出来ず、たまりにたまったものの処分に困ってのことと思われますが、田んぼに水を引きいれるためのものとして地元の人達が大切にしていた小川に捨てるなんて言外です。せめて自分の家の庭に穴を掘ってうめ、時を経て有機農法野菜のコヤシにするくらいの配慮はできなかったのでしょうか。



発掘・蓮等についての問い合わせ先:井戸尻考古館/長野県諏訪郡富士見町境
Tel : 0266-64-2044, Fax : 0266-64-2787




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