大宮殿から約200メートル程南のピラミッド状のマウンドの上に見えるのがミラドールと呼ばれる神殿である。マウンドの高さは約15メートル。神殿はその頂上に築かれた方形の基檀の上に建っており、内部は祭壇を備えた中央の部屋を含めて三室に分かれている。高さ約4メートルの屋根飾りには、かつては台座にのったかなり大がかりな装飾が施されていたと推定されている。
アーチ道(Archway)とも呼ばれるこの建物は、かつては宮殿の一部をなしていたものとされ、この先のサクベは、そのままミラドールを経て北の大宮殿に通じている。両脇には小さな部屋が接しており、その上の重厚な屋根飾りには、斜め格子の透かし模様、民家風の台座、雨の神チャクなどが見える。
大宮殿からアーチに向かう途中、ふと道端で見かけた石仏風の頭像群である。その中にはおそらく男根の象徴であろうか、このあたりではしばしば見えるキノコに似た石彫も混じっていた。
ラブナーの大宮殿は、全長約150メートルの大建築物であるが、これは、それぞれ別の時期に建てられたものが幾つか集まって現在の形になったと推定されている。従って全体としてはやや統一性に欠けてはいるものの、小円柱をベースにしたそのプウク式建築装飾には、特筆すべきものがある。特に中央宮殿の壁面上部、あるいは軒下の壁は、雨の神チャクをはじめとする極めて多彩な石のモザイクで埋め尽くされており、中でも正面左端の竜蛇の口から首をもたげた神像の姿が異彩を放っている。